もう紙じゃないかも。パルプモールド。

紙を「成型」する。

新聞やダンボール等の古紙を水で溶かし、樹脂や金属の型で自由に成型できるパルプモールド。
発泡スチロールより安価で環境にやさしい緩衝材・固定材として開発されましたが、
近頃はその自由さを活かし、意匠性の高い外装パッケージとしても活躍しています。

折る、曲げるではない、自由度の高さ

トップの画像は2003年にGood Design賞を受賞した、ご存知おぎのやの「峠の釜飯」です。以下の審査員の評価です。

「峠の釜めし」らしさを形状に残しながら、重い益子焼から軽いパルプモールドの紙器に替えることで、ユーザーの声に応えているところに好感が持てる。釜型のプラスチック容器に益子焼風のプリントを施すような安易な置き換えでないところも良い。和紙の風合いを生かした白一色にすることで、陶器に負けない上質感が出た上、汚れや異物を発見しやすいというメリットも付加され、白は適切な選択であった。駅弁の食文化を未来につないでいく良質なリニューアルであり、益子焼の器であれば買わなかった新たなユーザーも獲得できることだろう。

出展・引用:Good Design Award 2013
まさに私もそう思います。樹脂でも同じことはできるのでしょうが、紙の持つ温かみは真似ることはできません。
食料品との相性が非常にいいと思うのです。
軽く、捨てやすいのも魅力で、アウトドアにもうってつけなのですが
なぜかバーベキューの紙容器はぜんぜんおいしそうに見えません…。

その自由度を最大限に発揮した、こんなパッケージがあります。
名古屋モールド、ワインのパッケージ


出展:名古屋モールド
もはやパッケージと言うよりは、専用ケースといったほうがいいかも知れません。
日本包装技術協会主催の【2015日本パッケージングコンテスト】で「贈答品包装部門賞」を獲得したそうです。
地元名古屋にこんな企業があったとは…。迷惑かもしれませんが、早速電話です。

コストと戦う価値がある

自由で軽くて捨てやすくていいことづくめのパルプモールドですが、
紙のパッケージよりもコストがかかります。
紙より単価が高いのは金型がいることやその工程からも明らかですが、
それに加えて「かさばる」ということがコストアップの要因となります。
板紙の組箱であれば平で重ねて省スペースで保管することができますが、
パルプモールドは成型のためそのままの形で保管しなければならず、
当然、輸送コストも保管コストもかさみます。
シリーズや製品をまたいで(絵柄だけ変えて)同じ形状にし、
フタを開けた状態でスタッキングすることでスペースと型代を抑えるのが定石ですが、
こんなパッケージもあります。

ピエール・エルメ、イスパハンの限定パッケージ


出展:ファッショントレンドニュース|FASHION HEADLINE
無印良品を手がけるアートディレクター、原研哉さんのデザインです。
これカタチが3パターンあるのです。でもスタッキングできるのです。
相当なこだわりを実現するため、コストと戦い抜いた感が伝わってくるパッケージです。

他にこんな使い方も

出展:デイリーポータル
これわかります。
私の世代は超合金とかバカ高かったので、
包装紙の裏はお絵かきに、箱は基地にして余すところ無く使い倒したものですが、ここまでは行かなかったな~
創造力の進化は想像力をも進化させるのですねぇ。